逃亡

「ねえ。窒息死する人ってどんな気持ちなのかな。」

ガラスのない窓からブラインド越しに外を眺めながら女が言う。

「きっと苦しいよね。息を吸いたい、吸いたいって思いながら死ぬんだよね。」

窓際にサボテンが置いてあるのにやっと気がついた。

女はこちらを向いた。

「それってすごく辛いことだと思う。」

「だからなんだ。関係ない話をするな。」

「・・・早く移動しよう。キャンプに帰らないと。」

「今はやめた方がいい。外じゃ奴らがドンパチやってる。」

「夜のうちに…逃げたほうがいいよ。視界の悪さはデメリットよりもメリットになるから。」

「わかったよ。」

 

猫が3匹ほど地下からの階段を登ってくる。

それを無視して我々は外に出た。

真夜中だったが、ところどころの火事のせいで通り沿いは妙に明るかった。

倒壊したスーパーの陳列棚に冷凍食品が残っていた。

そんなものに未練を感じる自分が可笑しかった。

普段こんなもの全く口にしないくせに

盗ろうと思えば盗れる環境にあると

盗まないことを惜しく感じてしまうようだ。

 

それから2人で喧騒を逃れて・・・

日が昇るころには街の外れまで来た。

 

・・・人気のない道端に、まさに好々爺というべき翁がいた。

翁は丸太を足で蹴って転がしていた。

何をしているのか甚だ謎だった。

翁は我々に気がつくと声をかけてきた。

「やーあ、お若いの。」

「・・・なんだ?」

「あんた、丸太にちなんだ四字熟語を知っておるかね。」

「丸太・・・?」

「そう、ま、る、た。」

しばらく考えた。

「・・・知らんな。」

「そうかい。バカだな。」

「なんだと?」

いきなりバカ呼ばわりされて少し頭に血が上り、翁に向かって一歩踏み出したが

それを女が引きとめた。

「いけない!敵よ!」

 

 

 

 

 

っていう夢を見た。

終末の音の二番煎じですね。