昨日に引き続き、 セルゲイ・カスプロフ氏のピアノ・リサイタルに行ってきたよ。
[出発〜開演前]
午前中、チケットがあるかどうか電話で問い合わせたところ、
まだ結構残っていたので適当な席を予約した。
主催者側からしたら残席があるのは悲しいことであるが
急遽行くことを決めた側としてはありがたかった。
今日も曇っていて冷える日であった。
リリスホールも初めて行くホール。
早めに到着してチケットを受け取る。
またしても調律師さん目当てで開場と同時にホールに飛び込む。
入ってビックリ、客席がトンデモ急勾配。
ずっこけたら下まで転げ落ちそうな恐怖を覚える。
そろりそろりと階段を下り、なんとか無事に座席にたどりつく。
今日も調律師さんが微調整する姿を拝むことが出来た。
今日のピアノは、昨日の水色スタインウェイくんとは全然違う音だった。
硬質で芯があり、弦楽器のような響きがある。
今日のピアノは「黄色スタインウェイくん」と呼ぶことにした。
調律の作業はあっという間に終わってしまい、すぐに調律師さんはいなくなってしまった。
正直もっと見たかったが、こればかりは仕方がない。
今日も今日とて、黄色スタインウェイくんの下半身を眺めて開演までの時間を過ごす。
[前半]
本ベルが鳴る。リリスホールのベルはまるでおとぎ話のよう。
そしてカスプロフ氏の登場だ。昨日と同じ装いのようである。
今日は椅子に座った後、すぐに音楽が始まった。
前半の曲目は昨日と同じである。
・J.S.バッハ/ブゾーニ編 シャコンヌ ニ短調
・ラフマニノフ コレルリの主題による変奏曲 Op.42
シャコンヌは今日の方が気に入った。
昨日とは違う箇所で装飾があったような気がする。
即興性を重んじる演奏家なのかもしれない。
後でプロフィールを読んだらオルガンや古楽器もやるそう。納得。
実は、開演前に調律師さんが鳴らしているピアノの音を聞いたとき
「この音好きじゃない…昨日の水色スタインウェイくんの方が好き…」
と思ったが、いざ音楽が始まると真逆の印象で、
黄色スタインウェイくんの方がハーモニーが美しく聞こえた。
これは非常に面白い。勉強になった。
[休憩]
今日の調律師さんは登場せず。
あの強烈な打鍵に耐える調律をしたということなのだろうか。
むやみやたらに調律師さんを見たい者としては残念であった。
またしても黄色スタインウェイくんの下半身を見て過ごす。
[後半]
後半の曲目。
・ラモー(ゴドフスキー編)サラバンド、メヌエット
・ドビュッシー 映像 第1集
・プロコフィエフ ピアノ・ソナタ 第7番 変ロ長調 Op.83「戦争」
朗々としたサラバンド。王の帰還といったイメージ。
曲間をほとんど空けずにメヌエット。装飾が実にチャーミング。
やっぱり今日も来てよかった!!
あらゆる技術がぎゅうぎゅうに詰められた映像。
今日は曲間を空けない気分だったのか、3曲が流れるように進んだ。
そしてプロコフィエフのソナタ。
黄色スタインウェイくんで奏でられるとまた違った印象だった。
本日も圧倒的な高揚感で終わる。
[アンコール]
アンコールの曲目は昨日と同じ。
・スカルラッティ ソナタ ニ短調 K.213
・ヴィラ・ロボス 赤ちゃんの一族 第1組曲「お人形たち」7.道化人形
今日は特に何も告げられず演奏が始まる。
昨日大好きになったスカルラッティの曲を再び聴くことができて幸せだった。
音色は違うけれど、やはり美音だった。
道化人形は相変わらずクレイジーで人間離れしている。
速すぎて工業用ミシンでも見ているようだ。
さらっと弾いているけど相当難曲だろうなあ。
[閉演後]
充実した2日間であった…
同じ演奏家のコンサートに連日行ったのは初めてだった。
個人的には、前半は2日目、後半は1日目の方が好きだった。
ピアノは2日目の方が気に入った。
全体的には1日目の方が良かったかなあ。
安定感があったし、前半と後半でホールの色が変わる感じが素敵だった。
会場で販売していたCDを2枚を購入した。(昨日も販売していた)
買うとサインをしてもらえるようだったが、サインには興味がないので書いてもらわなかった。
今思えば、サインを口実にちょっとお話すればよかったなあ。
1枚目。EXPLORING TIME WITH MY PIANO。
このポーズ誰が考えたんだろう…
日本輸入向けの帯がついている。
ラノベのタイトルのごとき文言は
EXPLORING TIME WITH MY PIANOの意訳なんだろうか。
昨今はクラシック音楽界隈でもこういうのが流行っているのだろうか?
収録曲、スタッフ、演奏者インタビューの全訳が付属している。しかも両面にびっしりだ。
基本的にCD付属のテキストは読まないのだが、気が向いたらそのうち読むかもしれない。
収録されているのはラモー、リュリ、ジャン=バティスト・ルイエ、スカルラッティ、バッハ。
いくつかは原曲で、他はゴドフスキー、タウジヒ、ラフマニノフ編。
コンサートで聴いたラモー(ゴドフスキー編)のメヌエットが目当てだったけど他も気に入った。
なんとも軽やかな空気。穏やかな春の日差しのよう。
2枚目。Live in Tokyo 2015。
去年の東京公演のライブCD。
ラフマニノフのピアノ・ソナタ2番 変ロ短調Op.36
ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」より
ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」
これは……!!ホールで聴きたかったなあー!!
あと1年ピアノに復帰するのが早かったら行ってたかもしれないのに。
なじみのある曲が多いし、ライブならではの勢いがあって気に入った。
今年の東京公演も来年にCDが出るのかな。楽しみだな。