2017年1月15日(日)@みなとみらい大ホール
クラシック・ヨコハマ 生きる
〜2017New Year 若い命を支えるコンサート〜 に行った記録

今回の演奏会はピアノ・ソロ、ピアノ協奏曲、チェロ協奏曲と充実した演目。
チケットを買ったのが直前でスコアまでは読めなかったが、頑張って予習した。

みなとみらいホールに来るのは2003年7月4日の
フジ子・ヘミング&ウィーン・アルティス・カルテットのコンサート以来。
開演5秒で泣き出して鼻水を垂れ流していたら
ホールの人に「音は気にせず鼻かんでもいいですよ」と言われた思い出がある。

[開演前]
14:20開場、15:00開演。
毎度のことながら、調律師さん目当てで開場と同時にホールへ。
少しいじっているところを見られたが、調律師さんは割とすぐに消えてしまった。
2階席だったので遠くてピアノが良く見えなかったけれども
ロゴの雰囲気を見るにおそらく今回もスタインウェイだろう(曖昧)
今日のピアノはトッパンホールの水色スタインウェイくんに近い音だった。
あれー、スタインウェイって最近はマイルドな傾向なのかね?
もっとギラギラしたイメージを持っていたけどわたしの思い込みだったのか。
それともやっぱり若い子だったりして?うーん?
今日のピアノは「浅葱色スタインウェイくん」と呼ぼう。

2階席からは大好きなピアノの下半身を眺めることができなかったので、
代わりにオーケストラの配置などを見ていた。
チェロがステージ内側だった。
ずっと見ていると、クラの人?が出てきてリードをなめたり
コンバスの人たちが出てきて練習したりチューニングしたり談笑したりしていた。
演奏会や楽団によって開演前の様子はだいぶ違うけど、
今まで見た中では結構フリーダムだった。

[前半]
みなとみらい大ホールのベルは銅鑼の音。
そういえば会場のすみっこに銅鑼が置いてあった。

最初の演目は岸本隆之介さんによるシューマンのアレグロ ロ短調 作品8。
かなり緩急のある演奏。
ためるところはかなり溜め、速いパッセージはかなり速い。
安定感があり堂々とした素敵な演奏だった。
が、わたしはアゴーギクやルバートよりも
音色のうつろいやハーモニーの立体感を楽しむのが好きなので
ちょっと物足りない感じもした……
なんて思っていたら、この方は中学2年生だった!!ちゅうがくにねんせい!?
この年齢でこれだけ弾けるんだったら
10年後20年後はもっと素晴らしい音楽を聴かせてくれるに違いない。
ホルショフスキのように長生きして、ずっと音楽をやってほしいなと思った。

後に司会の方が色々説明してくれたところによると、
この演奏会は小児がん征圧キャンペーンの一環で、
がんと闘っている子どもたちと同世代の演奏家を招いて励ますという主旨があったらしい。
チャリティコンサートだったのか。
事前には曲の予習しかしてこなかった上に
入口でもらったパンフレットも全く見ていなかったので全然知らなかった。
こういう時、何も悪いことをしていないのに、
自分が場違いな感じがして気まずい気分になるのはどうしてなのだろう。

 

次の演目はショパン ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11。
オケ:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:渡邊一正氏
ソリスト:反田恭平氏

一度はホールで聴いてみたいなと思っていた曲。
今日はこの曲目当てで来たようなもの。
アンサンブルがすごく良くて、ホール全体の一体感が心地よかった。
コンバスにすごく特徴的な音を出す人がいた。三味線のさわりに似た感じの音。
あと、ファゴットの第一奏者?の人の音も良かった。
ファゴットってあんな音だったっけ…すごく味のある音だった。
反田氏の演奏は、音楽に作為的なものが何もなく、自然で素直な流れ。
技術的な安定感もすごい。
ここぞというところで出すビイィィンッという低音が気に入った。
浅葱色スタインウェイくんでもああいう音が鳴るのか。

アンコールは反田氏によるピアノ・ソロ。知らない曲だった。
リスト?シューマンかな?と思って後日調べたら、シューマンの献呈(リスト編)だった。
献呈ってこんな曲だったっけ…あの甘々エピソードの…
ちょっと放心していたのか、気がついたら終わってしまった。

この方はそのうちもっとホールの色を変えてくれそうな気がした。
そういう演奏家はチェックしておきたいなと思い
配られたチラシを確認したら、今年の全国縦断ツアーのチラシが入っていた。

移動を考えると結構大変そうなスケジュールだ。こんなに忙しくて大丈夫なんだろうか。
ツアーというのはそういうものだと言われてしまえばそうなんだが…
音楽家は散歩したり瞑想する時間がほしいんじゃないかと思ってしまうのは、
わたしがアファナシエフを好きだからだろうな。

[休憩]
離席しないつもりだったが、思ったより演奏会が長くて不安だったので用を足してきた。
戻ったら、浅葱色スタインウェイくんは屋根を閉じられて上手のすみっこへ移動していた。
移動するところを見たかった…ピアノに関連することはどんな些細な事でも見たいのだ。

後半の演目がチェロ協奏曲なので、指揮台の後ろにチェロのソリスト用の台が置かれた。
台の上には背もたれ付きのピアノ椅子がある。チェリストの椅子はピアノ椅子なのか。
ソリストに限らず、オケのチェリストもみんなピアノ椅子だった。
エンドピンだけで高さを調整するのかと思ったら、椅子の高さも大事なようだ。

[後半]
後半の演目はドヴォジャーク チェロ協奏曲 ロ短調 作品104。
ソリストは堤剛氏。
ドヴォジャークが好きなので楽しみにしていたのだが、あろうことか寝てしまった。
前半のときよりアンサンブルが変な感じがした。何となくちぐはぐというか…

アンコールは堤氏によるソロ。プロコフィエフのマーチ。
こんな面白い曲があるのか!
苦手だったプロコフィエフを好きになれそうな気がしてきた。

[閉演後]
後半は寝てしまって残念だったが、とても興味深い音を聴けた演奏会だった。
一音でも聴きたい音があったのなら、それはいい演奏会だ。

閉演後は、小児がん征圧キャンペーンの募金箱を横目に、すぐ帰路についた。
募金箱は苦手なのでチケット代に含めておいてくれないかな。含まれていたのかな?
次にコンサートを選ぶときは、協賛などをもうちょっと気にしてみようと思った。

 

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