2019年9月15日(日)@みなとみらい大ホール
横浜音祭り2019 オープニングコンサートに行った記録

今回の演奏会は自分でチケットを買ったのではなく、友人から譲り受けた。
諸事情により行けなくなってしまったとのことで、
代わりに、わたしともう一人の別の友人とで聴きに行くことになった。
珍しく一人ではなく隣席に友人がいる演奏会である。

[開演前]
9月に入り少し涼しくなりつつあったが、この日は晴れていて暑かった。
汗をふきふき、水をごくごく、会場へ向かう。
みなとみらい大ホールに来るのは2017年以来。

15:20開場、16:00開演。
開場と共にホールに入る。
ピアノが置いてあったが、調律師さんの姿はない。
演目が盛りだくさんな演奏会では
調律師さんを見られる確率が低いことを、これまでの経験で学んでいる。
ステージから席が遠かったのでピアノはよく見えなかったけれども、
ロゴの雰囲気を見るに、おそらくスタインウェイ。
前回このホールで会った子は「浅葱色スタインウェイくん」と呼んでいたが
今日も同じピアノなのか、別のピアノなのか判別がつかない。
浅葱色スタインウェイくんはあまり主張しすぎないピアノだった記憶があるし
今日もさほど印象的ではなかったので、同じ子かなあ?

特に楽曲の予習をしてこなかったので
開演までにプログラムを読んでおこうと思ったら
フォントがゴマのように小さい。
うわぁ、老眼バスターフォントだ。
諦めて、いつも通りピアノの下半身を眺めて過ごす。
友人が来てからは近況などを語らいつつ、開演を待つ。
みなとみらい大ホールのベルは銅鑼の音。

[演奏者]
指揮:アンドレア・バッティストーニ
ピアノ:清水和音
合唱:横浜少年少女合唱団
オケ:東京フィルハーモニー交響楽団

東京フィルは、前回このホールに来た時に音を聞いている。
特徴的な音を持つ楽員さんがいたことを覚えている。
それ以外の演奏家は初めてである。

[第一部]
第一部の曲目。
・ヤン・ヴァン=デル= ロースト/横浜音祭りファンファーレ
・日本童謡メドレー( 阪田知樹編曲)「赤い靴〜浜辺の歌〜花」

金管楽器奏者がゾロゾロと現れ、ゆるやかな弧を描いて一列に並ぶ。
指揮者の棒に合わせて朗々と響くブラス。
ファンファーレとしては一風変わった感じ。
あまりファンファーレっぽくないというか。
あっという間に終わってしまい、今度は合唱団の人が登場。
ざっと100人はいるだろうか。
合唱団の指揮の人とピアニストの清水和音氏が登場。
どれも有名な童謡。かなり凝ったアレンジ。
単なる伴奏の域を超えた芸術的な前奏の後、合唱が入る。
澄んでいてとても美しい。なんてきれいなんだ。
自身の子供時代の学校の合唱を思い出し、あまりの差に驚く。
ところで、この合唱団は日本郵船氷川丸船内の
ハッチを改装した部屋で練習を行っているらしい。おもしろい!!

[休憩]
一旦用を足しに出る。
戻ってくると、ピアノは大屋根が閉じられ、ステージ下手に寄せられていた。
ハープ、コンバス、木管の人たちの一部がステージ上で軽く音を出している。

[第二部]
第二部の曲目。
・ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
・ショパン/ピアノ協奏曲第1番

今日聞いた東京フィルの音色は
全体のバランスが整っていて端正な印象。
弱音が素晴らしい。キュッと音量が絞られても
カスカスではなく、美しく、そして何故かよく聞こえる。
今日はClの人の音が気に入った。素晴らしいソロだった。
前回聴いた時ほどCbに強い印象を抱かなかった。
良く考えると、前回はCbの正面の席だったので、
まっすぐ音が飛んできていたのかもしれない。

「運命の力」が終わると、
数人の手によってピアノがころころと転がされ、
再びステージ中央にやってくる。
一人のスタッフの方が大屋根をエイヤと開ける。
わたしは大屋根を一人で開けられないので
一人で開けている人を見るとすごいなあと思う。
キャスターをエイエイと蹴って外向きに変えたのち
スタッフさんたちは去っていく。

今日一番楽しみにしていたのはショパンの協奏曲。
実によかった。最高だった。
ロマン派以降のピアノ協奏曲は
ピアノの音がオケにかき消されるシーンが多々あるので、
もうそういうものだと思い込んでいたが、
今日の協奏曲はちゃんと「協奏」していた。
感覚としては、3楽章などはもっと盛り上がっても良さそうだったが
それを抑えて、ソリストが終始尊重されているところに感動を覚えた。
まあこれは、わたしがピアノ狂信者であるからこその感想かもしれない。

オケは色彩豊かで、逆にピアノは透明感のある素直な音色。
音量も含めて、とにかく全体のバランスが良かった。

[第二部アンコール]
・ショパン/ポロネーズ第6番 変イ長調 作品53 「英雄」

ソリスト清水和音氏によるアンコール。
あの協奏曲の後に「英雄」とは……!
アンコールとしてはかなり重めな選曲ではなかろうか。
「英雄」と聞いて多くの人がイメージするような
奇を衒わない、王道で安定感のある「英雄」であった。

[休憩]
特になし。

[第三部]
第三部の曲目。
・ムソルグスキー(ラヴェル編曲) /組曲「展覧会の絵」

非常に有名な楽曲だが、ライブで聴くのは初めてである。
こちらも楽しみにしていた。
見慣れない、聞き慣れない楽器がチラホラ。

……第四プロムナードで木管が鳴り出した時、
2月に行ったセルゲイ・カスプロフのピアノ・リサイタル
「展覧会の絵」の原曲を聞いた記憶が鮮明に蘇った。
あの時の、ピアノのものとは思えない、あの掠れた音は
まさにこの木管の音色を完璧に再現していたのだ。
な、なんていうピアニストなんだ、カスプロフは……
この音を聞いただけでも、今日ここに来た甲斐があった。
……などと、別の演奏会に思いを馳せていたら
あっという間に「キエフの大門」に。
ラストのパーカスと鐘の音がえぐすぎて、
全て持っていかれてしまった。ひゃー。
ほぼ鐘のことしか覚えていない……

[第三部アンコール]
・チャイコフスキー /「くるみ割り人形」雪片のワルツ

「くるみ割り人形」は、組曲にまとめられたものしか知らなかったので、
この曲は初めて聞いた。チャイコフスキーだとも思っていなかった。
現代の曲かと思ってしまった。天才は時代をぶち抜けてくるから好き。
合唱の方たちも再登場して、実に爽やかな空気を残して、演奏会は終わった。

[閉演後]
かなりボリュームのある充実した演奏会であった。
コンチェルトと展覧会の絵がよかったな。

 

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